活動報告】
被災地スタディツアー2013 〜震災アーカイブと私たちの役割〜 活動レポート | |
- 投稿日:2013.11.23
- カテゴリー:活動報告
被災地スタディツアー2013
〜震災アーカイブと私たちの役割〜
活動レポート
自然災害というものは発生から時が経つほどに、被災者と非被災者との間の
暗黙の隔たりが小さくなっていくのでしょうか。
震災当初は被災した方々と、そうでない人々とは明確に
分けられていたように思われます。
しかし時が経つにつれて、当時は強制的に被災者とされてしまった方々の中にも
第三者として震災を捉えられる人が出てきているといいます。
一方、被災していない人の中からも東北に関わり、復興に携わり、
被災者の方々と深い縁をつなぐことで、当事者になりつつある人が
出てきています。
この現象はどこから生まれてくるのでしょうか。
「震災アーカイブと私たちの役割」
東日本大震災から二年半が経過した昨今、
震災の爪痕は目に移る風景からは姿を消そうとしています。
ただ、それは震災の復興が一段落したということを示すのでは決してなく、
姿を変えて次なる問題を連れてきているに過ぎません。
「被災体験を経験に昇華させずに消化してしまってはならない」
私たちは今回のスタディツアーで、震災から数年経った今、
新たに移り変わり、起こりつつある問題における現状とこれからについて、
当初から積極的に活動してこられた方々のお話を伺って参りました。
日常に慣れ親しんでいると思い込む私たちは非日常を求めがちですが、
実は私たちが思っている以上に、日常というものは得難いものなのかもしれません。
■ 10/12(土)
<リアス・アーク美術館>
http://www.riasark.com/
ご講演者
山内 宏泰氏 フリーランスライター リアス・アーク美術館 学芸係長
講演概要
震災前と震災後で物事の受け取り方が大きく変化されたご経験をはじめとして、
被災したとしても、間違っても被害者だとは思ってほしくないという想い、
そしてこの土地で生きている以上、誰しも責任がないということはないことを
意識しなければならない、というお話をいただきました。
また、「東日本大震災の記録と津波の災害史」を常設展示とされたのは、
地元の人々にこそ見続けてほしいからなのだとお話しいただきました。
<三陸鉄道震災学習列車 南リアス線>
http://www.sanrikutetsudou.com/2013/05/「震災学習列車」のご案内.html
ご講演者
熊谷 松一氏
三陸鉄道株式会社 南リアス線運行部主任
ご講演概要
吉浜地区が、明治29年・昭和8年の津波で被害を受けたことにより決められた
「ある一定の高さよりも下に家を建ててはならない」というラインを
すっと守り続けたことで今回の震災の被害が少なく済み「奇跡の集落」と
呼ばれるようになった、というお話をはじめとして、震災後に被災者の状況を
目の当たりにして三陸鉄道の復旧を決意されてから、実際に再開されるまでの
経緯や想いをお話しいただきました。
■ 10/13(日)
<遠野まごころネット>
http://tonomagokoro.net/
ご講演者
小谷 雄介氏
特定非営利活動法人 遠野まごころネット 副理事長
ご講演概要
遠野まごころネットが今まで取り組んできた活動や、これから取り組んでいかなければ
ならないと考えている問題などのお話を通して、今まではボランティアのマンパワーで
やり果せたことが多かったが、現在は商品開発やデザインのノウハウを必要とする場面が
増えてきており、プロボノが一層求められるようになっている現状などをお話しいただきました。
<石巻グランドホテル>
http://www.grandhotel.bz/
ご講演者
後藤 宗徳氏
株式会社ソーワダイレクト 代表取締役社長
石巻観光協会 会長
石巻商工会議所 副会頭
ご講演概要
石巻の水産業や宅地造成などの復興に向けた活動において、これまでとは異なった
新しい問題に直面している現状についてお話しいただきました。
また、被災地として今まで受けてきたご恩への感謝の想い、
そしてこれからはご恩を返していかなければならないという強い想いや、
ご自身の夢として抱かれている復興博覧会の開催についてもお話しくださいました。
■ 10/14(祝)
<石巻3.11あすのためのミュージアム>
https://www.facebook.com/pages/石巻-311-あすのためのミュージアム/513781868689168
ご講演者
小島 誠一郎氏
一般社団法人東日本大震災デジタルアーカイブス支援センター 理事・事務局長
株式会社ナブラ・ゼロ 取締役
iSPP情報支援プロボノ・プラットフォーム 理事
ご講演概要
「石巻3.11あすのためのミュージアム」が作られるまでの経緯、
特にミュージアムを作られた宮城エキスプレス社が、震災・津波に直面し、
一時は再建をあきらめかけた状況から如何にして復興を行ってこられたか、
そして、これから地域の方々と一緒にどのようにミュージアムに取り組まれようと
されているかの展望をお話しいただきました。
<宮城エキスプレス>
ご講演者
宇都宮 博行氏
宮城エキスプレス株式会社 代表取締役社長
ご講演概要
震災直後の宮城エキスプレス、そしてご自身の状況、
そして旧社屋に被災者の方を受け入れられて生活されたお話をはじめとして、
新社屋に「石巻3.11あすのためのミュージアム」やヘリポートを備えられた想い、
震災・津波を経験された後も沿岸部で仕事・生活を続ける責任についてお話しいただきました。