iSPP 調査ワーキンググループ

2012 年 2 月 12 日

調査ワーキンググループの概要

 

「情報行動調査」を実施

本WGは、2011年4月に被災地を訪問した際に、「携帯電話はぜんぜんつながらなかった、インターネットなんてとんでもない、そんな状況ではなかった」と厳しく指摘されたことを契機に、広大な東北の被災地では、被害の状況、場所や時間の違いによって、情報伝達手段の評価が全く異なることに着目し、遅くならないうちに正確な記録を残す必要があると考えたことが発端となって生まれた。

その後、企業や官庁からの協力や依頼もあって、調査の専門知識をもつメンバーが加わって正式なプロジェクトとして立上げ、7月に「情報行動調査」を実施した。

宮城・岩手・福島の東北3県の住民を対象に、震災発生から3か月間、人々がどんな情報をたよりに、どう行動をしたのかを詳細に調査したもので、インターネットによるアンケート調査(2815人)と、被災地を直接訪問しての面談調査(186人)、計3001人の回答者を得て、結果の分析を行った。面談調査は、iSPP東北メンバーの協力により、現地での支援活動を行っている人たちによって調査をしていただいた。

7月末にネット調査の結果をまとめた「速報」を公表し、9月末に全体の分析整理を行い、報告書を公表した。こちらはNHK総合テレビの朝のニュースでも紹介された。文書による報告書に加えて、ローデータの提供も行っている。

12月には、総務省の「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会」の最終まとめ案に関する意見募集に対して、iSPPとしてのコメントを提出した。

【関連資料】
東日本大震災 情報行動調査 被災地3000人にお聞きしました

 

単行本の執筆

『3.11 被災地の証言  東日本大震災 情報行動調査で検証するデジタル大国・日本の盲点』
(インプレスR&D 3月5日発売予定)

情報行動調査の報告書は、膨大なデータを客観的に分析・整理したもので、専門性が高く、限られた読者を対象としていた。そこで、情報行動調査の内容を基にしつつ、一般読者を対象とする本を企画し、有志メンバーによって執筆に取り組んだ。それが単行本、『3.11 被災地の証言 東日本大震災 情報行動調査で検証するデジタル大国・日本の盲点』である。

調査データに加えて、iSPPメンバーによる様々な現地訪問、取材の記録を加え、より広い範囲の事実を収集し、被災者側の視点に立ち、個々の人びとの感じたことを含めて、広く伝えることを目指した。

阪神・淡路大震災から17年、携帯電話やソーシャルメディアが普及し、環境が様変わりしたにもかかわらず、当時の教訓は生かされず、人々は情報が遮断された中で安否確認もできずに取り残された。そんな「情報の空白地帯」を繰り返さないために、今、何をすべきなのか。調査結果と特別取材によって得た膨大な証言を分析し、情報通信技術(ICT)の利用という視点から真の支援のあり方を探る。ICTの観点から復興を考えるための基礎資料としてまとめたものである。

 

今後、政策面への取り組みも

調査WGでは、今後も被災地における事実の発掘、記録などをまとめる作業を行うとともに、報告書および単行本に所収された「提言」を、より被災地側の視点に近付ける「バージョンアップ」作業を行い、政策面への取り組みも進めていきたいと考えている。

 

プロボノの募集

当WGにご参加いただけるプロボノの方をご募集しております。
iSPP事務局にご協力いただける事項(調査設計、データ分析、編集作業等)を明記の上、下記のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
office@ispp.jp ※@を半角英数に変えてお送りください。